仕事・出勤前の腹痛を和らげ、過敏性腸症候群を予防する腸内フローラ

仕事・出勤・登校前の腹痛を和らげ、過敏性腸症候群を予防するための腸内フローラ改善方法について述べています。

腸内フローラが過敏性腸症候群を防ぐ理由とは?

この記事ではなぜ腸内フローラが仕事・出勤・登校前の腹痛を緩和し、過敏性腸症候群を予防するのかについて述べています。

普段、私たちの腸内では100種類・100兆個の腸内細菌が生息しています。また近年は遺伝子解析技術の発達により、1000種類もの腸内細菌がいるとも言われています。

また腸内細菌の総重量は1~1.5kgにものぼるとされています。

その腸内細菌の群生の様子は、お花畑や花の女神になぞらえて「腸内フローラ」と呼ばれています。一般的には、体内の微生物と私たち人間の様々な関わりのことは、「マイクロバイオーム」と呼ばれていますが、日本では腸内細菌学のパイオニアである東京大学名誉教授の光岡知足氏と、そのお弟子さんである辨野義己氏が「腸内フローラ」という言葉を使うようにしたそうです。

 

 日本では叢のような細菌群ということで、腸内細菌叢という言葉が使われていました。でも、私の師である光岡知足先生と私たちは、腸内の微生物群をもう少し美しく豊かなイメージの言葉で表現したいと考えました。 そこで80年代に、英語のマイクロフローラやガット・フローラをもとに「腸内フローラ」という言葉を使い始めました。フローラは元々ローマ神話に登場する花と春と豊饒の女神です。 (辨野義己『腸を整えれば病気にならない』p22)

 

腸内フローラが出勤・登校前の腹痛を和らげる

腸内フローラが出勤・登校前の腹痛を和らげ、過敏性腸症候群を防ぐ理由

では、なぜ腸内フローラが仕事・出勤・登校前の突然の腹痛を緩和して、過敏性腸症候群を防いでくれるのでしょうか?

それは腸内フローラの状態が、神経系・免疫系・内分泌系に関わっているからです。

このことを分かりやすく簡単に説明しますと、神経系に関しては、腸と脳は迷走神経でつねにやりとりしていると言われているため、腸の状態は脳に影響を与えます(腸脳相関)。

また、反対にストレスや不安を脳で感じたと思っても、その情報は実は腸にも伝わっています(脳腸相関)。

過敏性腸症候群の発症に関しては、この辺りの腸と脳の神経系でのつながりが深く関与していると考えられています。

次は免疫系に関してですが、腸にはおよそ3分の2の免疫細胞が集中しているといわれており(特に小腸)、腸は「腸管免疫」とも呼ばれています。

そのため、日頃の生活習慣が原因で腸内環境が悪化してしまうと、免疫力が低下してしまいます。さらに免疫機能に異常が起こると、花粉症やアトピーなどのアレルギーや自己免疫疾患といった問題も生じてくるようになります。

最後の内分泌系に関しては、ホルモンの分泌に腸内フローラが関わっているということです。

腸内フローラとは腸内細菌の集まりでしたが、その腸内細菌はセロトニンドーパミンメラトニンといったホルモンの合成に関わっているため、腸内フローラを健康に保つことは、ホルモンがスムーズに作られることにもつながっていくのです。

 

神経系・免疫系・内分泌系

参考 光岡知足 『腸を鍛える―腸内細菌と腸内フローラ』

腸内フローラのバランスが過敏性腸症候群の予防には大切

このように、腸内フローラの状態は、私たちの体内の神経系・免疫系・内分泌系に深く関わっているわけなのです。

したがって腸内細菌のバランスが整い、腸内フローラの状態が良好であれば、突然のひどい腹痛に悩まされることも少なくなっていくと考えられるのです。

そのため、出勤や登校前に、急な腹痛に悩まされるとしたら、腸内フローラの状態を気にかけてみることが必要になってきます。

また腸内環境の悪化の延長線上には過敏性腸症候群だけではなく、大腸がん、炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎などの腸の病気の発症が待ちかまえていますが、腸内フローラを改善していくことは、それら大腸の病気を予防することにもつながっていくのです。

ちなみに腸内細菌は善玉菌・悪玉菌・日和見菌に分類されますが、腸内細菌の理想的なバランスは「2:1:7」だと言われています。

過敏性腸症候群の予防で大事なのは、腸内フローラ全体の理想的なバランスを保つことなのです。

そしてそのために役立つのが、乳酸菌食物繊維オリゴ糖などの栄養成分です。

それに加えて、過敏性腸症候群は社会心理的ストレスが原因として関係してくるため、同時に心のケアも重要になってきます。